硯屏けんびやう)” の例文
或日又遊びに来た室生むろふは、僕の顔を見るが早いか、団子坂の或骨董屋に青磁の硯屏けんびやうの出てゐることを話した。
身のまはり (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
或日又遊びに来た室生は僕の顔を見るが早いか、団子坂だんござかの或骨董屋こつとうや青磁せいじ硯屏けんびやうの出てゐることを話した。
野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
宛然ゑんぜん僕にその硯屏けんびやうを買ふ義務でもありさうな口吻こうふんである。しかし御意ぎよい通りに買つたことをいまだに後悔してゐないのは室生の為にも僕の為にもかく欣懐きんくわいと云ふほかはない。
野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
僕の青磁せいじ硯屏けんびやう団子坂だんござか骨董屋こつとうやで買つたものである。もつとも進んで買つたわけではない。僕はいつかこの硯屏のことを「野人生計事やじんせいけいのこと」といふ随筆の中に書いて置いた。それをちよつと摘録てきろくすれば——
身のまはり (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
この上にある端渓たんけいすずり蹲螭そんちの文鎮、ひきの形をした銅の水差し、獅子と牡丹ぼたんとを浮かせた青磁せいじ硯屏けんびやう、それから蘭を刻んだ孟宗もうそうの根竹の筆立て——さう云ふ一切の文房具は、皆彼の創作の苦しみに
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
二 硯屏けんびやう
身のまはり (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)