瞑想めいさう)” の例文
いつまでも変らずにある真鍮しんちゆうの香炉、花立、燈明皿——そんな性命いのちの無い道具まで、何となく斯う寂寞じやくまく瞑想めいさうに耽つて居るやうで
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
だが、彼女は瞑想めいさうする多くの時間を許されはしなかつた。級長の、大きいがさつなが、強いカムバァーランドなまりで怒鳴どなりながらやつて來た——
自分は俯向うつむいて何か深く瞑想めいさうふけつてゐるのであつた。と、頭の上で何か、つひぞこの数年間に聞いた事のない、あるあわたゞしい騒擾さうぜうの音がしてゐるのに気が附いた。
(新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
暗い瞑想めいさうふけつてぐづ/\と日を送つてゐる彼には、最初この家の陰気で静かなのがかへつて気安く感じられたのであつたが、それもだん/\と暗い、なやましい圧迫に変つてゐるのであつた。
哀しき父 (新字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
篠懸すゞかけの木よ、總大將が乘る親船おやぶね帆檣ほばしら、遠い國の戀に向ふはらんだ帆——男の篠懸すゞかけ種子たねを風に石弩いしゆみの如く、よろひを通し腹を刺す——女の篠懸すゞかけ始終しじゆう東をばかり氣にしてゐて定業ぢやうごふ瞑想めいさうする
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
そのくせ、その刀傷に湯をかけながら、ゆき子はなつかしい思ひ出の数々を瞑想めいさうして、今日からは、どうにもならない、息のつまるやうな生活が続くのだと、観念しないではなかつた。退屈だつた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
しちめんどうな瞑想めいさう
南洋館 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)