眼中がんちゆう)” の例文
おれももう一ぺん小六ころくやうになつてたい」とつた。「此方こつちぢや、むかふおれやう運命うんめいおちいるだらうとおもつて心配しんぱいしてゐるのに、むかふぢや兄貴あにきなんざあ眼中がんちゆうにないからえらいや」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
周三は奈何いかなる場合にも「自己」を忘れなかツた。そして何處までも自己の權利を主張しゆちやうして、家または家族かぞくに就いて少しも考へなかツた。無論家の興廢こうはいなどゝいふことはてん眼中がんちゆうに置いてゐなかた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)