相済あひす)” の例文
旧字:相濟
室生犀星むろふさいせい君はこれは——今僕の前に坐つてゐるから、甚だ相済あひすまない気がするけれども——干物ひものにして食ふより仕方がない。
食物として (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「俺あ、おめえさんの鼻をひつぱたいて相済あひすまんだ。俺の鼻をぶつ叩いて気を晴らしてくだせェ。ぺちやんこ鼻だで、叩いても甲斐かいのねェことだらうけど。」
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
御苦労ごくらう御苦労ごくらうまこと御骨折ごほねをりけて誰方どなたにも相済あひすまん。が、御心配ごしんぱいにはおよばんのだ。——おきなさい、行衛ゆくゑれなかつた家内かないは、唯今たゞいま所在ありかわかつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)