相図あひづ)” の例文
旧字:相圖
一頃ひところの熱狂に比べると、町もシーンとして来た、小諸停車場の前で吹く喇叭らつぱが町の空に響き渡つた。入営するものを寄せ集めの相図あひづだ。
突貫 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
則重公その書をひらき見給ふに、槍垣御坊より和泉守へ差立てたる文の態にて、東西より筑摩家の領内へ攻入らんとする相図あひづの状に紛れもなし。
次にほゞ格之助と同じ支度の平八郎が、黒羅紗くろらしやの羽織、野袴のばかまで行く。茨田いばらたと杉山とがやりを持つて左右に随ふ。若党わかたう曾我そが中間ちゆうげん木八きはち吉助きちすけとが背後うしろに附き添ふ。次に相図あひづの太鼓が行く。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)