目付めつ)” の例文
「一ツ橋家の武士達より、どうともして先に昆虫館を、目付めつけ出さなければ意地が立たない。だがどうにも歩きにくいなあ」
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
どこから目付めつけ出すか不思議なくらい目付け出した。橋本も余も面白半分少し探して見たが、全く駄目であった。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そうしてモデルツて來るモデルもモデルもかたはしから刎付はねつけて、手蔓てづるてやツとこさ自分で目付めつけ出したモデルといふのがすなはちお房であツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
金主きんしゆ目付めつけたが、引手茶屋ひきてぢややは、見込みこみがないとふので、資本もとでおろさない。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まだレミヤが年頃にならぬ中から、八方に手をひろげて、及ぶ限りの手段をつくして探し廻わったのですが、サテ探すとなるとナカナカ思い通りに目付めつからないのが一人娘の婿養子だそうです。
霊感! (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「何だ。はははは。とんだものを目付めつかったな。何、これァ昨夜ゆうべ雪が降ったから途中で一杯やったら、もういいというのに間違えてまた一本持って来やがったからそのまま懐中ふところへ入れて来たんだ。」
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「ともかくも乾児こぶんを猟り集め、森中手を分けて探してみよう! ……しかし名に負う木精こだまの森だ、入り込んだが最後出られない魔所! 目付めつかってくれればいいがなあ」
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
読んでると目付めつかつて恐ろしくしかられたんです。
いろ扱ひ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
誰が止めようと森林へ分け入り、彼奴きゃつらより先に声の主を、目付めつけ出さなければ心が済まぬ
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
お前——即ち伊丹屋のお染を、いたちを使って盗み出し、そうしてお前を女太夫に仕込み、そうしてわしから身を隠した。わしはどんなに探したろう。だが容易に目付めつからなかった。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)