盗跖とうせき)” の例文
旧字:盜跖
「むかしにも、柳下恵りゅうかけい盗跖とうせきのような兄弟があったが、今の世にも、あなたのようなお方がいたか。天子に奏して、ぜひあなたを南蛮王にしましょう」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
盗跖とうせきの心をもって貿易するも堯舜ぎょうしゅんの心をもって貿易するも、貿易はすなわち貿易なり。すでに貿易なり。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
昔、唐の盗跖とうせきや、我が朝の熊坂くまさか袴垂はかまだれなんど、いずれも聖人君子であろうぞ! ワッハッハッ
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
孔子こうしえることまたは為せることは、盗跖とうせきより見れば、はなはだ邪魔になったに相違ない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
こんな詰まらぬ法螺談ほらばなしも、盗跖とうせきあめを以てかぎを開くの例で、随分有益な参考になるというのは、昨今中央政府の遣り方の無鉄砲に倣い、府県きそうて無用の事業を起し、無用の官吏を置くに随い
盗跖とうせきという大盗と、議論をたたかわし、偽君子ぎくんしの皮をヒンかれて、説法に出向いたやつがあべこべに、まる裸の人間をさらけ出して、二の句もなく、逃げ帰っているではないか。
尭舜ぎょうしゅん禹湯うとうの時代を過ぎ、周代を経て春秋の世となり、老子孔子孟子の徒も、この書の恩恵をこうむったらしい。しかし、それらの誰よりもこの書の恩恵を蒙ったのは、他ならぬ大盗盗跖とうせきだ。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「が、人間の肝臓を、好んで食べたというような、盗跖とうせきのような兇賊なら?」
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)