皆伝かいでん)” の例文
旧字:皆傳
富田流とだりゅうの刀法を鐘巻自斎かねまきじさいにうけ、居合いあいを吉川家の食客片山伯耆守ほうきのかみ久安から皆伝かいでんされ、それにも甘んじないで自ら巌流がんりゅうという一流を立てたほどの者で
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
故十方斎先生は、此室ここ皆伝かいでんの秘密の口述くちずをしたもので、大廊下からわかれてこっちへ通ずる小廊下のゆかが、鶯張うぐいすばりになっている。むと音がするんです。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
皆伝かいでんになったのではないので、翌々年すなわち長享三年の三月、宗祇はさらに『古今集序』聞書ならびに三ヶ事のうち切紙一、題歌事切紙一、以上を、実隆の邸に持参して
ことごとく皆伝かいでんだ、曲者の十人や二十人に恐れる拙者では無い、拙者一人が道をふさげば、池の端の一本道で、此方の防ぎは大丈夫、今晩の組子はことごとく向う側へ行ってよろしい。
皆伝かいでんになると、かかえ教授入江達三郎から上聞じょうぶんに達し、家格にもよるが、召し出されて、御番人格、御小姓場、御書院詰、などへ出頭することになるので、剣道そのものよりは、同僚を追い抜いて
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
長火鉢のむこうに、芸者屋に生獲いけどりになった兄さんのように、荒い丹前たんぜんか何か引っかけて、女みたいな顔でやに下っているのが、これぞ、江戸に聞えた喧嘩の専門家、観化流皆伝かいでん達剣たっけん、茨右近だ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)