白粉おしろひ)” の例文
鏡に映つた兒どもの、つらには凄いほど眞白まつしろ白粉おしろひつてあつた、まつげのみ黒くパツチリとひらいたふたつの眼の底から恐怖おそれすくんだ瞳が生眞面目きまじめ震慄わなないてゐた。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
木偶之坊でくのばうこしらへれば、内職ないしよくにお玉杓子たまじやくしつたでがす。獅子頭しゝがしら閻魔様えんまさま姉様あねさまくびの、天狗てんぐめん座頭ざとうかほ白粉おしろひればべにもなする、青絵具あをゑのぐもべつたりぢや。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
成程、今の世、実事によくうつすを好む故、真の家老の身振口上をうつすとは云へども、さらばとて、真の大名の家老などが、立役の如く顔に紅脂べに白粉おしろひをぬることありや。
実物と模型 (新字旧仮名) / 相馬御風(著)
白粉おしろひやけの素顔して湯にゆくさまの芸妓あり。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)