白日闇はくじつあん)” の例文
はるかに瞰下みおろす幽谷は、白日闇はくじつあんの別境にて、夜昼なしにもやめ、脚下に雨のそぼ降る如く、渓流暗に魔言を説きて、啾々しゅうしゅうたる鬼気人を襲う、その物凄ものすごわむ方なし。
妖僧記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
けだし土地の人は八幡やはたに比し、恐れて奥を探る者無く、見るから物凄ものすご白日闇はくじつあんの別天地、お村の死骸も其処そこうづめつと聞くほどに、うかとは足を入難いれがたし、予は支度したく取懸とりかゝれり。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
八万四千の眷属けんぞくて、蒼海そうかいを踏み、須弥山しゅみせんさしはさみ、気焔きえん万丈ばんじょう虚空を焼きて、星辰せいしんの光を奪い、白日闇はくじつあんの毒霧に乗じて、ほこふるい、おのを振い、一度ひとたび虚空に朝せんか、持国広目ありとというとも
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここはいずこぞ鮫ヶ橋、白日闇はくじつあんの木賃宿にしかき姿あるはあやしむべし。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)