痩枯やせが)” の例文
藥草類やくさうるゐってをったが、かほ痩枯やせがれ、眉毛まゆげおほかぶさり、するどひんけづられて、のこったはほねかは
公の清らに老い痩枯やせがれたるさまの頼りなさ、それに実生の松の緑りもかすけき小ささ、わびきったる釣瓶なんどを用いていらるるはかなさ、それを思い、これを感じて
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そしたらまあ何という変り方でございましょう、あんなにも美しかった童子は、病の床について痩枯やせがれていられ、同じくやつれた阿闍利さまがその枕べに坐っておられました。
あじゃり (新字新仮名) / 室生犀星(著)
芸術に生き、芸術に滅びてもらいたかった。雄々おおしく戦って、痩枯やせがれたからだを舞台に横たえたとき、わたしたちはどんなに、どんなに彼女のために涙をおしまないだろう。讃美するだろう。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
痩枯やせがれた坊主の易者が出るが、その者は、何となく、幽霊を済度しそうな、怪しい、そして頼母たのもしい、呪文を唱える、堅固な行者のような風采ふうさいを持ってるから、ひとの忌む処、かえって、底の見えない
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)