男子おのこ)” の例文
かしずいてきてからすぐ翌年に、その裏方は、後に、小黒おぐろの女房とよばれた昌姫まさひめを生み、やがてまた、二年おいて、男子おのこ明信みょうしんを生んだ。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
源叔父の独子ひとりご幸助海におぼれてせし同じ年の秋、一人の女乞食日向ひゅうがかたより迷いきて佐伯の町に足をとどめぬ。ともないしは八歳やっつばかりの男子おのこなり。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
山蟹の卵は爾の腹から我の強き男子おのこを産ますであろう。来たれ。我は爾のごとき美しき女を見たことがない。来たれ。我とともに我のへやへ来りて、酒盞うくはを干せ。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
そこで、豊雄が真女児のことを云うと、あによめは、「男子おのこのひとり寝し給うが、かねていとおしかりつるに、いとよきことぞ」と云ってその太郎に豊雄に女のできたことを話した。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
赤裸まはだか男子おのこむれゐてあらがねのまろがり砕くつちうちふり
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
男子おのことはたをやの髪の一一に
ねたみ (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
弓矢を取る男子おのこですら、今の世に生きて、敵の中に立ってゆくのは、生やさしいものではないに、女子の身に、怖ろしい敵を作られ、身を隠さねば
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お子は、いとすこやかで、貴相気高く、珠のような男子おのこであること。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)