玄徳げんとく)” の例文
諸葛孔明しょかつこうめいの生涯は偉大なる悲劇だ。あんな大人物でありながら自己の全部を玄徳げんとくに捧げたのは感心だ。孔明のえらさは透き徹ったえらさだ。
The Affair of Two Watches (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「……わかりません。おっ母さん、玄徳げんとくは愚鈍です。どこが悪い、なにが気にいらぬと、叱って下さい。仰っしゃって下さい」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
長屋門ながやもん這入はいると鼠色ねずみいろ騾馬らばが木の株につないである。余はこの騾馬を見るや否や、三国志さんごくしを思い出した。何だか玄徳げんとくの乗った馬に似ている。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
幾人の盗賊がしょく玄徳げんとくの墓をあばきにはいると、内には二人の男が燈火あかりの下で碁を打っていて、ほかに侍衛の軍人が十余人も武器を持って控えていたので、盗賊どももおどろいて謝まり閉口すると
自分は、漢の左将軍、宜城亭侯ぎじょうていこうりょうは予州のぼく新野皇叔しんやこうしゅく劉備りゅうびあざな玄徳げんとくというもの。先生にまみえんため、みずからこれへ参ったのであるが
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「覚えがなければ、もう、落着いていたらどうです。お前さんたち四人に、馬騰ばとう玄徳げんとくも加わって一味六人が、義状に連判したのはあれは何日いつでしたッけね」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「これは涿県楼桑村たくけんろうそうそんの生れで、それがしとは幼少からの朋友です。劉備りゅうびあざな玄徳げんとくといって、つい先頃までは、平原県へいげんけんれいを勤めていた者です。——どうかよろしく」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
荊州けいしゅう劉表りゅうひょう、河北の袁紹えんしょうとむすび、五十万の軍勢をおこす。また西涼の馬騰ばとう并州へいしゅう韓遂かんすい徐州じょしゅう玄徳げんとくなんども、各地から心をあわせて一せいに起ち、その兵七十万と聞えわたる。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
玄徳げんとくは驚いて、取次の家臣へ、すぐ鄭重に案内せよと命じた。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おっ母さん、今帰りました。玄徳げんとくです。玄徳ですよ」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
西涼せいりょう馬騰ばとうと、徐州じょしゅう玄徳げんとくでしょう」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)