猛火みょうか)” の例文
すでに、葛西かさいやついちめんは、冷たいような猛火みょうかだった。極熱のほのおが燃えきわまると、逆に、しいんと冷寂な「」の世界が降りて来る——。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがてその日も暮れました。夜に入って風は南に変ったとみえ、百万遍、雲文寺のかたの火焔かえん廬山寺ろざんじあたりの猛火みょうかも、次第に南へ延びて参ります。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
「いやいや、仏法ぶっぽうの貴賤を分たぬのはたとえば猛火みょうかの大小好悪こうおを焼き尽してしまうのと変りはない。……」
尼提 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
やがてその日も暮れました。夜に入つて風は南に変つたとみえ、百万遍、雲文寺のかたの火焔かえん廬山寺ろざんじあたりの猛火みょうかも、次第に南へ延びて参ります。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
軒先のきさきをめぐって火のへびがのたうち廻ると見るひまに、ごうと音をたててしとみが五六間ばかりも一ときに吹き上げられ、御殿の中からは猛火みょうかの大柱が横ざまに吐き出されます。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
軒先のきさきをめぐつて火のへびがのたうち廻ると見るひまに、ごうと音をたててしとみが五六間ばかりも一ときに吹き上げられ、御殿の中からは猛火みょうかの大柱が横ざまに吐き出されます。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
俺は相国寺の焼ける時ちょっと驚いたのだが、あの乱戦と猛火みょうかが塀一つ向うでおこっている中を、折角せっかくはじめた酒宴を邪魔するなと云ってついに杯を離さずすわり通したそうだ。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
俺は相国寺の焼ける時ちよつと驚いたのだが、あの乱戦と猛火みょうかが塀一つ向ふでおこつてゐる中を、折角せっかくはじめた酒宴を邪魔するなと云つてついに杯を離さずすわり通したさうだ。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)