牢舎ろうしゃ)” の例文
旧字:牢舍
だめです。これから自首して、もし遠島えんとう牢舎ろうしゃぐらいで、生命いのちがありましたら、もう一ぺん生れ直します。どうかごきげんよう
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
侍屋敷は土壁に茅葺かやぶきで、黒板塀くろいたべいがまわしてあり、堤に沿って学堂、牢舎ろうしゃ、家老屋敷と続いている。そして、道は堀川にゆき当り、石の架け橋を渡ると、城の大手門があった。
「そちもたしか、主と共に罪を問われて、牢舎ろうしゃと聞いていたが。……ま、ここでは話もならぬ。わしについて、まずまいれ。憲房の屋敷のうちへ」
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
牢舎ろうしゃ拷問ごうもんの揚句、とうとう首を斬られたのは、自業自得とは言いながら、さぞ、お蝶に心が残ったでしょう。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
清洲の城下に立ち廻っていたところを、織田殿の侍に観破されて召し捕えられ、久しく牢舎ろうしゃほうりこまれていたのを木下様のおはからいで、救われたのでござりました
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて揚屋あがりや入りとなった吟味中に、かれは四、五度破牢をくわだてましたが成功せず、遂に、あしたは小塚ッ原の露となるにきまった前の夜、嵐に乗じて牢舎ろうしゃ天井てんじょうを破り
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おいいつけに依りまして、即日宮本武蔵なる牢人の身は、秩父ちちぶ牢舎ろうしゃより放ちました。折から、迎えに見えた夢想むそう権之助なる者に、ねんごろに、誤解の由を申して、引渡しましてござります」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)