無頼者ならずもの)” の例文
ごらんの通り、この無頼者ならずものめが、先刻より私にさまざまな難癖をつけ、なんとなだめてもおさまりがつきません。その上にも、生きた人間を
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無頼者ならずものの一隊は、早くも駕籠を奪ってそのままに、神輿みこしを担ぐように大勢してかつぎ上げたようです。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それが毒酒どくしゅであったので、ふたりともに命をうしなったのである。それだけのことは検視の上で判明した。しかも、かのふたりは同町内に住んでいる無頼者ならずものであることも判った。
放し鰻 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その牢人と組んで、博奕ばくち、ゆすり、かたり、誘拐ゆうかいを職業にして立とうとする無頼者ならずものえるし、飲食店や売女もそれにあかりをつける。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どてらに、三尺帯か何か締めて、ふくらんだ無頼者ならずものみたいな恰好かっこうをしているので、手先が、奉行所の白洲へ、しょッ曳いてゆくと、必ず
田崎草雲とその子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あの山には、馬や野菜物さえのべつさらってゆく野伏のぶせりが、たんと巣を喰うているそうな。おおかたそんな無頼者ならずもの仕業しわざであろうが
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼のような無頼者ならずもののおやじでも、その子が危難へ向って挺身ていしんしてゆくのを見ると、狂気のような声を出さずにはいられない。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なんだって、無頼者ならずもの使嗾しそうして僕をこんな所へ引っぱって来たんですか。君たちは白昼に追剥おいはぎでもやろうっていうのか」
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「御両所、ここには、新免しんめん武蔵と署名しあるが、武蔵といえば、先頃、宝蔵院衆と共に般若野はんにゃので多くの無頼者ならずものを斬ったという——あの宮本武蔵とは別人だろうか」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、かような繁華の町中で、人を騒がせ、野獣か、無頼者ならずもののような、理不尽な争いを演じては、われら、一個の名ばかりか、武士という者すべての恥さらし。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
応仁の乱以後、室町幕府の紊乱ぶんらんにつけこんで、京都に簇出そうしゅつした浪人くずれの無頼者ならずものの一団である。
剣の四君子:03 林崎甚助 (新字新仮名) / 吉川英治(著)