火勢かせい)” の例文
火勢かせいは一段と強くなった。それから先はもう困らなかった。明るい、そしてあたたかい焚火たきびが、どんどんと燃えさかった。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
なまはちよっとえにくいようにおもへますが、一度いちど火勢かせいがつけば、こんもりとしげつたうつくしい森林しんりんもまたゝくまにはひになつてしまふのです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
京橋の本社は焼けたろうと思うが、とても近寄ることが出来ないとのことであった。市村君は一時間ほども話して帰った。番町方面の火勢かせいはすこし弱ったと伝えられた。
火に追われて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
こっちの火勢かせいがよわければ、今にもとびかかろうかという気配けはいが見えた。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
めらめらぱちぱちと、すごい火勢かせいに、研究室はたちまち火焔地獄かえんじごくとなり、煙のなかに逃げまどう人の形があったが、その後のことは、帆村も田鍋課長も見極みきわめることが出来なかった。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)