あら)” の例文
『滄浪の水清まばもって吾がえいあらうべく、滄浪の水濁らばもって吾が足をあらうべし』……融通無碍むげになりさえすれば、物事かえって面白うござる
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
筑摩川春ゆく水はすみにけり消て幾日いくかの峯の白雪とは順徳院じゆんとくゐん御製ぎよせいとかおほいなる石の上にて女きぬあらふ波に捲きとられずやと氣遣きづかはる向の岸のかたに此川へ流れ入る流に水車みづぐるま
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
ははあ、そこらがうもれ井戸か……すすきがざわざわと波を打つ。またその風の冷たさが、さっと魂をあらうような爽快さわやいだものではなく、気のせいか、ぞくぞくと身に染みます。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
喜べば則ち花開き鳥下る処、悲めば則ち木落ち風行く処、平和なれば則ち水草つぼみ黄にして佳人足をあらふ処、不平なれば則ち乞児きつじ巌頭にきょして遥に金紋先箱大鳥毛の行列をにらむ処。
病牀譫語 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
くは何者ぞと問へば此家の娘なりといふ容貌さまかたちも温泉にあらひて清げならん年は幾許いくつぞ。
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)