源三位げんざんみ)” の例文
湯は菖蒲の湯で、伝説にいう源三位げんざんみ頼政のしつ菖蒲の前は豆州ずしゅう長岡に生れたので、頼政滅亡の後、かれは故郷に帰って河内村の禅長寺に身をよせていた。
秋の修善寺 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
日常、事々に、驚くことを忘れ果てた人々は、この春、源三位げんざんみ頼政が、あんな現実的に、血をもって、世の苦悩を示しても、なお、そう驚きはしなかった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平家一色の京に源氏としてとどまりながら、巧みな政治力でその地位を保っていたのは、この頃近衛河原に住んでいた源三位げんざんみ入道頼政であったが、ある夜ひそかに高倉宮を尋ねた。
世を恨み義に勇みし源三位げんざんみ、數もなき白旗殊勝しゆしようにも宇治川の朝風あさかぜに飜へせしが、もろくも破れて空しく一族の血汐ちしほ平等院びやうどうゐん夏草なつくさに染めたりしは、諸國源氏が旗揚はたあげの先陣ならんとは
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
高綱たかつな源三位げんざんみも都踊りの飛沫とばっちりを受けた。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そんなら観音堂のがくを見たろう。あのなかに源三位げんざんみ頼政のぬえ退治がある。頼政が鵺を射て落すと、家来の猪早太いのはやたが刀をぬいて刺し透すのだ。な、判ったか。
(新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「てめえ達とは、体のできが違うぞ、天城四郎は、不死身なのだ、源三位げんざんみの矢も、俺には通るまい」憎々しい見得を切って、大殿の屋根の峰を濶歩かっぽするように、手を振って
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この成績がよかったので、越えて三十四年の十月、明治座では再び松居君の史劇「源三位げんざんみ」を上場した。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「でも、源三位げんざんみ頼政のいくさに加わって、討死したのじゃという人がありました」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうして明治三十二年の秋に、明治座で史劇「悪源太あくげんた」を上場することになった。俳優は初代の左団次さだんじ一座であった。続いて三十四年の秋に、同じく明治座で「源三位げんざんみ」を書いた。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「されば、源三位げんざんみ頼政殿の討死せられたのは、この辺りではないか」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)