わたる)” の例文
法科大学教授大川わたる君は居間の真中まんなか革包かばんを出して、そこらぢゆうに書物やシヤツなどを取り散らして、何か考へては革包の中へしまひ込んでゐる。
魔睡 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
いま筆者が参照している随筆『しぐれ草紙ぞうし』の著者、会津藩士小川わたるは天保十四年生れで、文久から明治戊辰ぼしんにかけて同藩現役の中堅であった。「ところ刑は」とかれは書いている。
せいばい (新字新仮名) / 服部之総(著)
けだし北越奇談ほくゑつきだん会津あひづとなこまたけ深谷しんこくに入ること三里にして化石渓くわせきたにと名付る処あり、虫羽ちゆうう草木といへどもたにに入りて一年をればみな化して石となる。その川甚苦寒くかんにして夏もわたるべからざるが如し。
けだし北越奇談ほくゑつきだん会津あひづとなこまたけ深谷しんこくに入ること三里にして化石渓くわせきたにと名付る処あり、虫羽ちゆうう草木といへどもたにに入りて一年をればみな化して石となる。その川甚苦寒くかんにして夏もわたるべからざるが如し。