)” の例文
ひとでや近所の魚は巻きえを食っては大変だと泥の中にもぐり込んだり一もくさんに逃げたりしました。
双子の星 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
見おろす目の下に、旧道いの坂本さかもと宿しゅくが、きらきらと緑の美しい六月の光を吸って、音無しの村のように静まっている。時の観念から遊離した仙郷せんきょうとでもいたい眺めだった。
浴槽 (新字新仮名) / 大坪砂男(著)
千穂子は気がけたような恰好で、縁側えんがわに腰をかけた。表口へ出る往来いの広場に、石材が山のように積んである。千葉県北葛飾郡八木郷村村有石材置場と云う大きい新しい木札きふだが立てられた。
河沙魚 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
こんな主人に巻きいなんぞ食いたくないから、みんなタオルやはんけちや、よごれたような白いようなものを、ぐるぐるうでに巻きつける。降参をするしるしなのだ。
オツベルと象 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)