浮浪人ふろうにん)” の例文
この新しい生活はなかなかわたしには苦しかったが、しかしこれまでの浮浪人ふろうにんの生活とても似つかない労働ろうどうの生活が案外あんがい早くからだにれた。
またこの恩を返す事は、勘当を受けた浮浪人ふろうにんのわたしでなければ出来ますまい。わたしはこの二年間、そう云う機会を待っていました。そうして、——その機会が来たのです。
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
浮浪人ふろうにんもかなりたくさんいて、いろいろわるいことばかりするので、警察も急にいろいろのやかましい法令をつくり、ついで衛生上のことにもあれこれと手をつくし出した結果
やどなし犬 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
なかにも伊部熊蔵は、うでのすぐれた若侍わかざむらいり、いちはやく白壁門しらかべもんへまいってりふせいでおりますから、ッつけ四十や五十人の浮浪人ふろうにんども、みなごろしにしてもどるでございましょう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
浮浪人ふろうにんといいますか、ルンペンといいますか、見るからにうすきみの悪いやつでしたが、そいつが門をはいってしばらくしますと、とつぜんおそろしいどなり声が、門内からもれてきました。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「しかし暮に式を挙げるのに浮浪人ふろうにんじゃ困るだろう?」
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
危険きけんな、みじめな、浮浪人ふろうにんの生活をわたしは自分が送ってきたこともわすれはしないのだ。だがいまそれをやめたら、わたしはいったいどうしていいかわからないではないか。
呂宋兵衛るそんべえこそ、多少蛮流ばんりゅう幻術げんじゅつ心得こころえておりますが、他の有象無象うぞうむぞうは、みなたかの知れた野武士のぶし浮浪人ふろうにんりあつまり、きっとけちらしてごらんに入れましょうから、お心やすくおぼしめせ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)