浪士ろうし)” の例文
こう云う風に、幾晩となく母が気をんで、の目も寝ずに心配していた父は、とくの昔に浪士ろうしのために殺されていたのである。
夢十夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いずれも江戸の方で浪士ろうしの募集に応じ、尽忠報国をまっこうに振りかざし、京都の市中を騒がす攘夷じょうい党の志士浪人に対抗して、幕府のために粉骨砕身しようという剣客ぞろいだ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
このとしの三がつ三日みっかには、桜田門外さくらだもんがいで、水戸みと浪士ろうし主人しゅじんをもたないさむらい)が、幕府ばくふ開国かいこくしたことをおこって、そのせきにんしゃである大老たいろう井伊直弼いいなおすけをおそうというじけんまでありました。
「ご浪士ろうし、ご浪士」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)