浦塩ウラジオ)” の例文
赤錆あかさびだらけの牡蠣殻かきがらだらけのボロ船が少しも恐ろしい事アないが、それでも逃がして浦塩ウラジオへ追い込めると士気に関係する。これで先ず一段落が着いた。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
去年の十月に浦塩ウラジオ艦隊を破り、今又旅順を落して我が軍は意気大いにあがっているが、ロシヤでは、バルチック艦隊を東洋に回航させるという噂もあるし
女の一生 (新字新仮名) / 森本薫(著)
「しかも浦塩ウラジオで亡くなったんです。旦那が領事館に関係のある人だったもんですから、あっちへいっしょに行きましてね。それから間もなくでした、死んだのは」
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
浦塩ウラジオに上陸し、鉄道経由にてハバロフスクに赴き、そこで、まもなく松方の一行と別れて単独行動を執ったが、それから九月十八日迄、十数日間の行動が不明である。
「うん。歯が痛んで血が出て仕様がねえから医者を起しに出たところを掴まえられて上海シャンハイされた。停船ストップしてるじゃねえか、何処だ此港ここは? 大連か、浦塩ウラジオか、何処だ」
上海された男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
当年碧血へきけつのあと、いまはただ野の草がさざなみのように風に倒れて、遠く浦塩ウラジオへ通ずる鉄路の果てが一線を引いて消える地平に、玩具おもちゃのような汽車が黒煙を吐いている。
踊る地平線:01 踊る地平線 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
露西亜の過激派を憎んでチェック軍と共に征討の兵を浦塩ウラジオに出すようなことをしながら
食糧騒動について (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
ソ満国境が閉鎖しているので、旅行は浦塩ウラジオ経由になった。日ソ休戦協定のヤマがみえているらしく、通過客にはうるさい制限はなにもなかった。八月二十一日の朝、浦塩に着いた。
川波 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
けれども、兇暴な三人の土民兵が、その時も私の手から青色ダイヤを奪って、浦塩ウラジオから日本へと逃げて来ました。ボイロフと此処ここに死んで居るのは、その時の兵士の内の二人です。
呪の金剛石 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
鴨緑江おうりょくこう材何者ぞ。浦塩ウラジオであろうと吉林であろうと、何するものぞ。——
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
「航空長、本船を、浦塩ウラジオへ、向けろ」大佐は、皺枯しわがれ声で、叫んだ。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
浦塩ウラジオ
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
同時に露語に交渉する各会社各事業から浦塩ウラジオの商人にまで連絡をつけて卒業生の生活の便宜まで心配した。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)