浜御殿はまごてん)” の例文
いよい兵端へいたんを開く時には浜御殿はまごてん、今の延遼館えんりょうかんで、火矢ひやげるから、ソレを相図あいずに用意致せとう市中に布令が出た。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
彼等の言を聞けば、政府にて決答を躊躇ちゅうちょするときは軍艦より高輪たかなわ薩州邸さっしゅうてい砲撃ほうげきし、らに浜御殿はまごてん占領せんりょうして此処ここより大城に向て砲火ほうかを開き、江戸市街を焼打やきうちにすべし云々うんぬんとて
それを越してかすみせき日比谷ひびやまるうちを見晴す景色と、芝公園しばこうえんの森に対して品川湾しながわわんの一部と、また眼の下なる汐留しおどめ堀割ほりわりから引続いて、お浜御殿はまごてんの深い木立こだちと城門の白壁を望む景色とは
銀座 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
一同はお浜御殿はまごてんの石垣下まで漕入こぎいつてから空腹くうふくを我慢しつゝ水の上の全く暗くなるのを待ち船宿の桟橋へあがるや否や、店に預けて置いた手荷物を奪ふやうに引掴ひつつかみ、めい/\あとをも見ず
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
一同はお浜御殿はまごてんの石垣下まで漕入こぎいってから空腹を我慢しつつ水の上の全く暗くなるのを待ち船宿の桟橋へあがるが否や、店に預けて置いた手荷物を奪うように引掴ひっつかみ、めいめいあとをも見ず