浄几じょうき)” の例文
アヽ降誕ト訃来ト五十四年ヲ隔ツトイヘドモソノ地相距あいへだたルコト百歩ニ過ギズ。コレガタメニ悲感更ニ深シ。浄几じょうき明水ヲ設ケ灯ヲ点ジ香ヲ破涕はていコレヲ記ス。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
うらむらくは其の叙するところ、けだいまだ十の三四をおわるに及ばずして、筆硯ひっけん空しく曲亭の浄几じょうきのこりて、主人既にきて白玉楼はくぎょくろうとなり、鹿鳴草舎はぎのやおきなこれをげるも
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
柴の戸を排して、いおりの中をうかがってみるに、まだ三十前後の一処士、ただひとり浄几じょうきの前に、燈火をかかげ、剣をかたわらにかけて、兵書に眼をさらしている様子である。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
謝して明窓浄几じょうきの下にしずかに書を読むべきを
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
山野を馳駆ちくして快い汗をかくか、天潤いて雨静かな日は明窓浄几じょうき香炉詩巻、吟詠ぎんえい翰墨かんぼくの遊びをして性情を頤養いようするとかいう風に、心ゆくばかり自由安適な生活を楽んでいたことだったろう。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)