泉鏡花いずみきょうか)” の例文
はじめの二回はいずれも喜多村緑郎きたむらろくろう君や松崎天民まつざきてんみん君、花柳章太郎はなやぎしょうたろう君、それに泉鏡花いずみきょうか氏をもお誘いして発起人に加わってもらったのだが
怪談 (新字新仮名) / 平山蘆江(著)
泉鏡花いずみきょうか氏、喜多村緑郎きたむらろくろう氏の他、発起人として尽力したのは、平山蘆江ひらやまろこう氏や三宅孤軒みやけこけん氏などであった。
友人一家の死 (新字新仮名) / 松崎天民(著)
明治時代の吉原とその附近の町との情景は、一葉いちよう女史の『たけくらべ』、広津柳浪ひろつりゅうろうの『今戸心中いまどしんじゅう』、泉鏡花いずみきょうかの『註文帳』の如き小説に、滅び行く最後の面影を残した。
里の今昔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
泉鏡花いずみきょうか子の『高野聖こうやひじり』は、その中の幻異志げんいしにある『板橋三娘子はんきょうさんろうし』から出発したものである。
怪譚小説の話 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
これが泉鏡花いずみきょうかの小説だと、任侠にんきょうよろこぶべき芸者か何かに、退治たいじられる奴だがと思っていた。しかしまた現代の日本橋は、とうてい鏡花の小説のように、動きっこはないとも思っていた。
魚河岸 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
もし、現在の作家の中に、例を引いてみるならば、泉鏡花いずみきょうか氏のごときがその人ではないだろうか。第二の人は、芸術と自分の実生活との間に、思いをさまよわせずにはいられないたちの人である。
広津氏に答う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
やがて現はれたるものを見れば文学雑誌はその名を『文芸界』と称し佐々醒雪さっさせいせつを主筆に平尾ひらお不孤ふこ草村くさむら北星ほくせい斎藤さいとう弔花ちょうかの諸子を編輯員とし巻首にはたしか広津柳浪ひろつりゅうろう泉鏡花いずみきょうからの新作を掲げたり。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
小説らしい小説は、泉鏡花いずみきょうか氏の「化銀杏ばけいちょう」が始めだったかと思います。もっともその前に「倭文庫やまとぶんこ」や「妙々車みょうみょうぐるま」のようなものは卒業していました。これはもう高等小学校へはいってからです。
文学好きの家庭から (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)