沢蟹さわがに)” の例文
旧字:澤蟹
穴の外に火をいて置くと、たけ六尺ほどで髪の長さはかかとを隠すばかりなる女が沢蟹さわがにを捕へて此火にあぶつて食ひ、又両人を見て笑った
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
と、熊蔵が、用意ようい松明たいまつを持たせて中にすすむと、清水にぬれて海獣かいじゅうはだのようにヌルヌルした岩壁がんぺきを、無数むすう沢蟹さわがにが走りまわったのに、ハッとした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼の猿弓を引くわざけて、先つ年かれが叔父沢蟹さわがにと合戦せし時も、軍功少からざりしと聞く。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
僕はこう云う話の中にふと池の水際みずぎわ沢蟹さわがにっているのを見つけました。
手紙 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
水はよくよく澄んでいて、沢蟹さわがにの影も見えるくらいだった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
池には蓮の葉が破れ、赤い沢蟹さわがにたわむれていた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)