沒收ぼつしう)” の例文
新字:没収
それはおかみが何にかを洗ひ立てて、家財沒收ぼつしうと出たら、飛んだ手數だふれになりはしないかと言つた謎めいた意味もあつたことでせう。
一體いつたいじゆくでは小説せうせつ嚴禁げんきんなので、うつかり教師けうし見着みつかると大目玉おほめだまふのみならず、この以前いぜん三馬さんば浮世風呂うきよぶろ一册いつさつ沒收ぼつしうされて四週間ししうかん置放おきつぱなしにされたため、貸本屋かしほんやから嚴談げんだんつて、大金たいきんられ
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
錢形平次が調べ上げて證據を提供ていきようしたので、幾月かの後龍の口の大評定となり、望月丹後は切腹を仰せ付けられた上、家祿を沒收ぼつしう
根も葉もない事を言ひ立て、その爲に父は遠島、母は病死、家は沒收ぼつしう、本家福屋は見る影もない有樣にされたのを怨まれずに居られようか
さて、離屋へ忍び込んだお幾は、明日は公儀に沒收ぼつしうされる三千兩だけ持出して、富崎佐太郎のために、父親の罪のつぐなひにするつもりでした。
「いづれはお上で沒收ぼつしうさ。だが、あのお房といふ娘は思ひの外しつかり者だから、結構清次郎を立てゝ行くだらうよ」
一つは河井龍之介の家から沒收ぼつしうした鈴に、そんな所名前などを書いたのは一つもなかつたからでもあります。
もつとも一度は惡者の手を逃れて、江戸番町の親の家に歸りましたが、少女お六が誘拐かどはかされるとき、父親の鎌井重三郎は人手にかゝつて非業の死を遂げ、家祿は沒收ぼつしう
拔荷の鐵砲を百梃、三千兩でさる大名に賣り込まうとした釜屋半兵衞が、うらみのある女中に殺され、鐵砲百梃は平次の働きで公儀に沒收ぼつしうされたのは、ツイ此間のことです。
「お北お吉の姉妹は身寄の者に引取られ、大黒屋の身上はお上に沒收ぼつしう、これで何も彼もお仕舞さ。だが、お吉もあまり寢覺ねざめよくあるまいが、此上ほじくり出すのは俺の流儀ぢやないよ」
銭形平次捕物控:180 罠 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)