此奴等こいつら)” の例文
軒下あるいは塀の蔭よりばらばらと飛出とびいだして、お使番を引僵ひきたおし、蹴って踏んでくらわして、「此奴等こいつら、人を乞食にしやあがる。へん、よしてもくりや、余計なお世話だ。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
孝助は此奴等こいつら徒党ととうしたのではないかと、すかして向うを見ると、どぶふちに今一人しゃがんで居るから、孝助はねて殿様が教えて下さるには、敵手あいての大勢の時はあわてると怪我をする
此奴等こいつらがいないと、此方輩こっちはいは早速困る事になるのだ。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
此奴等こいつらがこの地獄宿へ引張込んだのを見懸けたから、ちびりちびり遣りながら、こけの色ばなしを冷かしといて、ゆっくりなぐろうと思ったが、勿体なくッて我慢ならねえ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ベッ、此奴等こいつら、血のついた屑切くずきれなんか取散らかして、蛆虫うじむしめ。——この霊地をどうする。」
「やんややんや。ああおしい、太夫がらぬ。千代鶴やい、猿になれ。一若、立たぬか、立たぬか、此奴こいつ。ええ! ばばどもでまけてやろう、古猿こけざるになれ、此奴等こいつら……立たぬな、おのれ。」
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
山へあがったというではなし、たかだか船の中の車座、そんな事は平気な野郎も、酒樽の三番叟さんばそう、とうとうたらりたらりには肝をつぶして、(やい、此奴等こいつら、)とはずみに引傾ひっかたがります船底へ
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「畜生め、此奴等こいつら、道理で騒ぐぜ。むむ、素顔にゃはじめてだ。」
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ままにしろ、此奴等こいつら——と心の裡で、六蔵は苦り切る。
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「待ちゃあがれ此奴等こいつらわっしが出入先をどうするんだ。」
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
(来やがれ、此奴等こいつら、一足でも寄って見ろ。)
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
此奴等こいつら、ほんとうに悪い洒落だ。」
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
此奴等こいつら
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)