横腹よこつぱら)” の例文
横腹よこつぱらのあたりに、一寸四方許り血が附いてゐたので、私は吃驚びつくりして手を引いた。鉄砲弾てつぽうだまの痕だと叔父は説明して
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
つるの附いた鋸でものさしをあてつつ、その炭を同じ長さに切つて、大匏おほふくべ横腹よこつぱらり拔いた炭取に入れた。
父の婚礼 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
三四郎は此缶の横腹よこつぱらいてゐるふたつの穴にをつけた。穴が蟒蛇うはばみ眼玉めだまの様にひかつてゐる。野々宮君は笑ひながらひかるでせうと云つた。さうして、う云ふ説明をして呉れた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「うむ、彼奴あいつが高慢な顔をしてゐるからさ。実は僕も横腹よこつぱらを二つばかり突いて遣つた」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「さて、何う爲ようかな?」恁う渠は、額に八の字を寄せ、夥しく蚊に喰はれた脚や、蚤に攻められて一面に紅らんだ横腹よこつぱら自暴やけに掻き乍ら、考へ出した。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「さて、奈何どう為ようかな?」かれは、額に八の字を寄せ、夥しく蚊に喰はれた脚や、のみに攻められて一面に紅らんだ横腹よこつぱら自棄やけに掻き乍ら、考へ出した。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)