ごと)” の例文
旧字:
「そうじゃない。あれあ大病人の祝言じゃけに、病気にさわらんごと、ソロオッと遣ってくれたとたい。毛唐人なあ気の利いとるケニ」
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
年が寄ると何かと心細うなッて困いますよ——武どん、おまえからだを大事にしての、病気をせんごとしてくれんとないませんぞ
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
『待て待て。その仁三郎は待て。今俺が胸のとこをばあたって見たれあ、まだどことのうぬくごとある。まあだ生きとるかも知れん』
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
あの珍竹垣ちんちくかべから夾竹桃の覗いとる門構えじゃ。わしは役目柄ズッと入るけに、アンタはすこし遅れて、いつもの通りの物貰いの風で、人にわからんごと、入んなさいや
月の光で見ると彼の生優しいつらが、鬼のごと、釣り上ったがなあ。おのれ証拠が何処に在ると吐かしおったけに、何処にもない。ここに在る。この風呂敷の汚れを見い。
「おお。そういえばあの角屋の青柳喜平はまあだ三十四五にしかならんのに豚のごとブクブク肥えとる。百四五十きん位あるけに息が苦しいとこの間自分で云いよった。あの男なら四十位になると中風ちゅうきでコロッと死ぬかも知れんぜ」
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)