構内かまへうち)” の例文
その内一度けた明りを消した様子で、構内かまへうちは又ひつそりと寝鎮ねしづまりました。まだ夜の明け切るには間があつたのです。
まるまへ本多ほんださんやうね」と御米およねわらつた。まへ本多ほんださんとふのは、矢張やはおな構内かまへうちんで、おな坂井さかゐ貸家かしやりてゐる隱居夫婦いんきよふうふであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
二洲の官舎は初め聖堂の構内かまへうちにあつて、後に壱岐坂に邸を賜はつたと云ふ。山陽の寓したのは此官舎であらう。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
玉川砂礫ざりを敷きたるこみちありて、出外ではづるれば子爵家の構内かまへうちにて、三棟みむね並べる塗籠ぬりごめ背後うしろに、きりの木高く植列うゑつらねたる下道したみちの清く掃いたるを行窮ゆきつむれば、板塀繞いたべいめぐらせる下屋造げやつくりの煙突よりせはしげなるけふり立昇りて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)