業力ごうりき)” の例文
仏法もとより無碍むげにして偏在へんざいなしといえども、衆生しゅじょう業力ごうりき異なるに従いて仏教者中にその偏在を見るは遺憾いかんの至りなり。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
如何に/\と詰め寄れば、さしもに剛気無敵の喜三郎も、顔色青褪あおざまなこ血走り、白汗はっかんを流してあえぐばかりなりしが、流石さすがに積年の業力ごうりき尽きずやありけむ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その業力ごうりきで以来五百生の内、常に五百金銭を与えて、彼女と非法を行うたと仏が説かれた。
鶴見は鶴見で、『起信論』とは不即不離の態度を取って、むしろ妄心起動を自然法爾じねんほうにの力と観て、その業力ごうりきに、思想の経過から言えば最後の南無をささげようとしているのである。
なんじらは決して我が死をなげくに及ばぬ、我が業力ごうりきここに尽きて今日めでたく往生するのは取りも直さずわが悪因業あくいんごうここに消滅して今日より善因業を生ずるのである。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
世間の衆生いずこより生れ来り、死後いずこへ往くか判らぬ、一切世界衆生の業力ごうりきりて成り、成ってはくずれ、壊れては成り、始終相続いて断絶せぬ、それから竜が雨を降らすに
どうせ前世ぜんせ羯摩カルマ業力ごうりき)の結果、まぬかれぬ因縁いんねんがあればブータンの間道を取ろうが桃溪とうけいの間道を取ろうが、運命は一つであると考えたからで、幸い事を誤らずにここまで着くことが出来た。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)