根津権現ねづごんげん)” の例文
旧字:根津權現
小長こながい大小に下駄穿きでがら/\やって来まして、ちょうど根津権現ねづごんげんへ参詣して、惣門内そうもんうちを抜けて参りましたが、只今でも全盛でございますが
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
宗教と花街はふしぎに付いてまわる、浅草寺、根津権現ねづごんげん、赤坂の氷川神社、芝の神明しんめい、ちょっと数えただけでも、これらの周辺には花街がある。
その人は根津権現ねづごんげんの裏門の坂をあがって、彼と反対に北へ向いて歩いて来たものと見えて、健三が行手を何気なく眺めた時、十けん位先から既に彼の視線に入ったのである。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
江戸は根津権現ねづごんげんの裏、俗にあけぼのの里といわれるところに、神変夢想流しんぺんむそうりゅうの町道場を開いている小野塚鉄斎おのづかてっさい、いま奥の書院に端坐して、抜き放った一刀の刀身にあかず見入っている。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
北どなり、水戸さまの中屋敷にむいた弥生町やよいちょうがわの通用門から、てんでにどんぶりや土瓶を持った老若男女ろうにゃくなんにょがあふれだし、四列ならびになってずっと根津権現ねづごんげんのほうまで続いている。
顎十郎捕物帳:08 氷献上 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
さて本郷三丁目で電車を降りて、追分おいわけから高等学校に附いて右に曲がって、根津権現ねづごんげんの表坂上にある袖浦館そでうらかんという下宿屋の前に到着したのは、十月二十何日かの午前八時であった。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
このゆうべ、私は親しくオイケンの哲学に関する先生の感想をうかがって、も九時過再び千駄木の崖道をば根津権現ねづごんげんの方へり、不忍池しのばずのいけうしろを廻ると、ここにもそびえ立つ東照宮とうしょうぐうの裏手一面の崖に
そして、従来神田かんだ明神とか、根津権現ねづごんげんとかいったものは、神田神社、根津神社というようになり、三社さんじゃ権現も浅草神社と改称して、神仏何方どっちかに方附けなければならないことになったのである。
根津権現ねづごんげんの境内のある旗亭きていで大学生が数人会していた。
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)