東歌あずまうた)” の例文
殊に『万葉集』巻十四の東歌あずまうたおよび巻二十の防人さきもりの歌において例外が取分け多いのでありますが、私の見る所では、これは東国の言語で
古代国語の音韻に就いて (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
『万葉集』の有名なる一例は、いわゆる東歌あずまうたではあるけれども、「ニフナミにわがせをおくりて」とあって、「にひなめ」とは無い。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
近頃見つけた歌儛所かぶしょの古記録「東歌あずまうた」の中に見た一首がふと、此時、彼の言いたい気持ちを、代作して居てくれていたように、思い出された。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
『万葉集』の短歌は四千百七十三首で、断然群を抜いて多いが、その中でうたわれた歌謡と思われるものは東国の民謡だった東歌あずまうただののほかは、割に少いのである。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
然るに、巻十四、東歌あずまうたの挽歌の個処に、「かなし妹を何処いづち行かめと山菅やますげ背向そがひ宿しく今し悔しも」(三五七七)というのがあり、二つ共似ているが、巻七の方が優っている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
万葉巻十四に出た東歌あずまうたである。新嘗にいなめの夜の忌みの模様は、おなじころのおなじ東の事を伝えた常陸ひたち風土記にも見えている。
最古日本の女性生活の根柢 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
『万葉集』中の東歌あずまうた防人歌さきもりのうたのごとき東国語においては同じ仮名にあたる二音の区別が混乱した例が少なくなく、その音の区別は全くなかったか
国語音韻の変遷 (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
この巻十四は、いわゆる「東歌あずまうた」になるのであるが、東歌は、東国地方に行われた、概して民謡風な短歌を蒐集しゅうしゅう分類したもので、従って巻十・十一・十二あたりと同様作者が分からない。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
その第十四巻の東歌あずまうたの中に「我」とあるべき所に「家」と使ってあるので少し変だと思って、この巻の中のすべての「家」の字を集めて考えてみたのでありますが
古代国語の音韻に就いて (新字新仮名) / 橋本進吉(著)