昨夜よんべ)” の例文
ただ翌朝『先生は昨夜よんべは酒のんだ。けんど、日記さ付けんな』といつて甚だ上機嫌だつたのでおぼえてゐる。(昭和十三・六・二十二)
最上川 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
「それでも、さっきから、船のうえで聞いとったら、昨夜よんべ、吉田親分の盃をつっかえした、ちゅうて、話しとったじゃないか」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
さすがの源教げんけう戦慄ぞつとせしが、心をしづめてよくこそきたりつれといふに、幽霊いうれいはさらにことばをいださず、すがたは昨夜よんべ見たるにたがはず。
奥様も順でいなさりやすから昨夜よんべお暇いただいて来やしたのえ、父様ととさま母様かかさまも、眼の中さあ入れたいほど様子で居なさる。
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「はい、昨夜よんべ那裏あちらのお客様がおかへりになるかと思つて、遅うまで待つてをりやしたで、今朝睡うござりやす」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
旦那だんな様来やしたぜ、いよいよ来やしたぜ……昨夜よんべいになったのは、あの辺とちげえやすかね?」
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
「そうだ。」庄太郎も、半分戸ぐちを出ながら、「昨夜よんべの百両は、まだ授からねえじゃねえか。今にも、ばらばらっ! と、こう、天から降って来るかもしれねえぜ。」
早「あのー昨夜よんべねえ、わし貴方あんたたもとの中へ打投ぶっぽり込んだものを貴方ひらいて見たかねえ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
昨夜よんべから、うちの親方のところに、若松の吉田親分をはじめ、下関、小倉、博多はかた、別府などの顔役方がお見えになって、泊りがけで遊んでいなさるんじゃ。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
昨夜よんべ、どした」
ズラかった信吉 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「そう堅くならんと、楽にしたら、ええ。昨夜よんべは失敬したなあ。よう遊びに来てくれた」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)