星月夜ほしづきよ)” の例文
中央停車場の外へ出て、丸の内の大きな星月夜ほしづきよを仰いだ時も、俊助はまださっきの不思議な心もちから、全く自由にはなっていなかった。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
下は人工灯じんこうひの海、上は星月夜ほしづきよ、そして屋上は真暗まっくらだった。その真暗な屋上に立って、金博士は大きく両手をひろげる。
黒百合谷くろゆりだに百合ゆりの精か星月夜ほしづきよのこぼれ星かとうたがうだろう——ほどにだかい美少女が、手にしていた横笛を、山千鳥のくかとばかり強く吹いた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
星月夜ほしづきよの光に映る物凄ものすごい影から判断すると古松こしょうらしいその木と、突然一方に聞こえ出した奔湍ほんたんの音とが、久しく都会の中を出なかった津田の心に不時ふじの一転化を与えた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そらうつくしき星月夜ほしづきよ
哀音 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
水の少女をとめ星月夜ほしづきよ
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
そら金沙きんさ星月夜ほしづきよ
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そらは無月むげつ紺紙こんしはくをふきちらしたかのごとき星月夜ほしづきよ、——五遊星ゆうせい北極星ほっきょくせい北斗星ほくとせい、二十八宿星しゅくせい、その光芒こうぼうによって北条流ほうじょうりゅう軍学の星占ほしうらないをたてているらしい昌仙しょうせんは、しばらくあってのち
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
表へ出た三人は濠端ほりばたへ来て、電車を待ち合せる間大きな星月夜ほしづきよを仰いだ。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)