日溜ひだま)” の例文
青ペンキのはげた校舎裏の土俵の日溜ひだまりでは、ルパシカの紐の長い画学生達が、之は又野方図のほうずもなく長閑なすもうの遊び。
放浪記(初出) (新字新仮名) / 林芙美子(著)
が、小肥こぶとりのからだをつつむゆるい黒衣の影を石階の日溜ひだまりに落したまま、しばしは黙然と耳を澄ます。
ジェイン・グレイ遺文 (新字旧仮名) / 神西清(著)
途中は新地の赤い格子、青い暖簾のれん、どこかの盛場の店飾も、活動写真の看板も、よくは見ません。菜畠なばたけに近い場末の辻の日溜ひだまりに、柳の下で、ふなを売るおけを二人で覗いて
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
色も空も一淀ひとよどみする、この日溜ひだまりの三角畑の上ばかり、雲の瀬にべにの葉がしがらむように、夥多おびただしく赤蜻蛉あかとんぼが群れていた。——出会ったり、別れたり、上下うえしたにスッと飛んだり。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
青ペンキのはげた校舎裏の土俵の日溜ひだまりでは、ルパシカのひもの長い画学生達が、これは又野放図もなく長閑のどか角力すもう遊びだ。上から口笛を吹いてやると、カッパ頭が皆三階を見上げた。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)