イツ)” の例文
旧字:
枚岡ヒラヲカイツヒメにあがる宿世スクセを持つて生れた者ゆゑ、人間の男は、ハジく、弾く、弾きとばす。近よるまいぞよ。はゝはゝゝ。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
話は、又逆になるが、仏も元は、凡夫のイツいた九州辺の常世神に過ぎなかつた。其が、公式の手続きを経てのカヘ新参シンザンが、欽明朝の事だと言ふのであらう。
妣が国へ・常世へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
二上は、中臣寿詞ナカトミノヨゴトにもあるし……。イツヒメもいや、人の妻と呼ばれるのもいや——で、尼になる気を起したのでないか、と考へると、もう不安で不安でなう。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ケタシ、出雲の石※イハクマ曾宮ソノミヤに坐す、葦原色許男アシハラシコヲ大神を以てイツハフリが、大庭か、と問ひ賜ひき。
大嘗祭の本義 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
だが併し、あの郎女は、藤原四家の系統スヂで一番、カムさびたたちを持つて生れた、と謂はれる娘御である。今、枚岡ヒラヲカ御神オンカミに仕へて居るイツヒメめる時が来ると、あの嬢子ヲトメが替つて立つ筈だ。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)