文台ぶんだい)” の例文
其月の死骸のそばには文台ぶんだいが据えられて、誰が供えたのか知らないが、手向たむけの句らしい短冊が六、七枚も乗せてあった。
半七捕物帳:36 冬の金魚 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「はい、呉郡富春(浙江省・富陽市)の産で、孫、名は堅、あざな文台ぶんだいと申し、南方ではなかなか名の売れている男です」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雅楽頭は歩いていって、元の席に坐り、文台ぶんだいの上のれいを取って鳴らした。そして、懐紙を出してぐいぐいと顔を拭き、それを繰り返したあと、もういちど鈴を鳴らした。
松宇しょうう氏来りて蕪村ぶそん文台ぶんだいといふを示さる。あま橋立はしだての松にて作りけるとか。木理もくめあらく上に二見ふたみの岩と扇子せんすの中に松とを画がけり。筆法無邪気にして蕪村若き時の筆かとも思はる。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
これは呉郡富春ごぐんふしゅん(浙江省・富陽市)の産で、孫堅そんけんあざな文台ぶんだいという者です。いにしえの孫子が末葉であります。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「この六助は蒔絵師まきえしだった」と去定は低い声で云った、「その道ではかなり知られた職人だったらしい、紀伊家や尾張家などにも、文台ぶんだい手筥てばこが幾つか買上げられているそうだが、妻も子もなく、 ...