掻裂かきさ)” の例文
形勢おだやかならず、源次は遁足にげあしを踏み、這身はいみになって、掻裂かきさくような手つきで、ちょいと出し、ちょいと引き、取戻そうとしては遣損やりそこない、目色を変えて
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あるいは神を「彼」と呼びて「れ怒りて我を掻裂かきさきかつくるしめ、我に向いて歯を噛鳴かみならしわが敵となり目をくして我をる……彼は我を打敗うちやぶりて破壊やぶれ破壊やぶれを加え、 ...
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
が、流石さすがは職業であるから、市郎は其疵口そのきずぐちを検査すると、きずは刃物でなく、鋭い牙と爪とて咬破かみやぶ掻裂かきさいたものらしい。彼は再び驚くと共に、敵はまさしく𤢖であることを悟った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)