推重すいちょう)” の例文
凝重ぎょうちょう穎鋭えいえいの二句、老先生眼裏がんりの好学生を写しいだきたってしん有り。此の孤鳳皇こほうおうを見るというに至っては、推重すいちょうまた至れり。詩十四章、其二に曰く
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
その日まねかれた賓客は当時の列侯中博学を以て推重すいちょうせられた冠山松平定常かんざんまつだいらさだつね土岐とき八十郎、幕府の奥儒者成島東岳なるしまとうがくの養子稼堂かどう、主人述斎の六男林復斎
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
外から一律に万人へかぶせる無理な倫理に愛想をつかして、個人が内から思い思いに実際生活の要求に迫られて随時随処に建てる自然の倫理を推重すいちょうする私は
鏡心灯語 抄 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
花前は麻布あざぶ某所ぼうしょ中等ちゅうとう牛乳屋ぎゅうにゅうやをしておった。畜産ちくさん熱心家ねっしんか見職けんしきも高く、同業間どうぎょうかんにも推重すいちょうされておった。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)