振舞ぶるまい)” の例文
あくる日、しょうは、上清宮の神扉しんぴ深きところの、宸翰しんかん箱にまつり封ぜられ、式を終って、夜は一山の大饗宴だいきょうえんに移った。精進しょうじん料理ばかりのお山振舞ぶるまいである。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
青々とり立てたひげの跡の濃いあごをなでて、また福島の役所の方から代替だいがわり本役の沙汰さたもないうちから、新主人半蔵のために祝い振舞ぶるまいの時のしたくなぞを始めた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
うち晩酌ばんしゃくに飲み、村の集会で飲み、有権者だけに衆議院議員の選挙せんきょ振舞ぶるまいで飲み、どうやらすると昼日中ひるひなかおかずばあさんの小店こみせで一人で飲んで真赤まっか上機嫌じょうきげんになって、笑って無暗むやみにお辞義をしたり
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
その晩、うどん振舞ぶるまいに招かれて来た人たちは半蔵のことを語り合うにも、これまでのように「本陣の旦那だんな」と呼ぶものはない。いずれも「お師匠さま」と呼ぶようになった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
割子わりご弁当に重詰め、客振舞ぶるまい酒肴さけさかなは旅に来ている寛斎のぜんにまでついた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)