かせ)” の例文
亭主ていしゅもつなら理学士、文学士つぶしが利く、女房たば音楽師、画工えかき、産婆三割徳ぞ、ならば美人局つつもたせ、げうち、板の間かせぎ等のわざ出来てしかも英仏の語に長じ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
かつて自分のかせぎ溜めた錢で、今は僅かに殘る貯への中から、丁度三百兩を取出して財布に入れ平次が推察した通り竹桿たけざをの先に引つ掛けて隣の庭に入れたのです。
よく世間でいうことに、「よく二人ふたりかせぐ」というが、報酬のみを得る考えのものは、二人ふたりかせぐのでなく、いわばよくのみかせいで自分は何もせぬようなものである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
正直で一生懸命にかせいでも其日其日を喰ひ兼ねて居る者が更に思はぬ災難に遇ふこともあれば、横着至極不届千万なことをして、大金を儲けた者が、一生涯は素より
人類の誇大狂 (新字旧仮名) / 丘浅次郎(著)
その時、スミス先生が一かせの糸を掛けてゐてくれと頼んだので、私は注意を轉じた。
かせげばかせぐほど貧しく成り、次第/\に家をとろへ、今は朝夕あさゆふのけぶりさへたえ/″\に成りければ、三八さんぱち女房に云ふやう、(中略)ふたりが中にまうけし娘ことし十五まで育てぬれ共
案頭の書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その多多利というのは椯とも線柱とも書いて、糸を巻くために用いる三股みつまたかせのごとき物だと言えば、何かこれらの金属品を通じて、同じタタラの称を下すべき仔細があったのかも知れぬ。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
かつて自分のかせぎ溜めた銭で、今はわずかに残る貯えの中から、ちょうど三百両を取出して財布に入れ平次が推察した通り竹桿の先に引っ掛けて隣の庭に入れたのです。
濰県いけんあたりとか聞いたが、今でも百姓が冬の農暇のうかになると、鋤鍬すきくわを用意して先達を先に立てて、あちこちの古い墓を捜しまわって、いわゆる掘出し物かせぎをするという噂を聞いた。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
すると叔父は山かせぎをするものの常で二三日帰らなかったある夜の事であった。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
濰県ゐけんあたりとか聞いたが、今でも百姓が冬の農暇になると、鋤鍬を用意して先達を先に立てゝ、あちこちの古い墓を捜しまはつて、所謂掘出し物かせぎをするといふ噂を聞いた。虚談では無いらしい。
骨董 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)