くくり)” の例文
麥色の薔薇ばらの花、くくりの弛んだ重い小束こたばの麥色の薔薇ばらの花、やはらかくなりさうでもあり、かたくもなりたさうである、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
あんたから貰うた手紙がわたしの居間の箪笥の中にひとくくりにしてあるけん、盂蘭盆の夜の五ツ半頃、みなが焔口供えんくぐ法会ほうえに唐寺へ行った頃を見澄ましてそっと取りに来い、ということで
眉に柳のしずくをかけて、しっとりと汗ばんだが、その時ずッと座を開けて、再びともしびおおうてすまった、夫人を見つつ恍惚うっとりと、目をつぶらかにみまもった、胸にぶらりと手帳のくくりに、鉛筆の色の紫を
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)