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折惡
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をりあし
「井筒屋の旦那が、
折惡く目を覺して、縁側まで出たところを、脇差で
袈裟掛に斬られたのださうで御座います」
見てヤア油屋の番頭さん
折惡く
宿では留守なれども
先一ぷくあがりませ
又今朝程は何かと御世話に
成殊に約束の月も
切て度々
御催促をも
受誠にお氣の毒と云を
通り候
機出格子の中にて
金談の聲致すにより何事やらんと承まはりしに彦兵衞事
無心の處
折惡く百兩は御門跡に奉納の願ひにて
御講中に差上る
積是見給へとて彼女隱居は紙に包みし金子を
御奉行所へ御呼出しになり文右衞門へ
引會されし
所其節折惡く私しが御當地に居合せざれば文右衞門が金子の
出所明かならず因つて今に
入牢なし居る由實に親分大變が出來たるなりと云ば私しの
親切が
却て
仇となり
恩ある人に
難儀を