扶植ふしょく)” の例文
何をするにも——わがの結婚を考えるにさえ——すぐ閥族ばつぞくの勢力扶植ふしょくへ持って行ったり、政策の具にしたがるのが、不快でならなかった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼等は互いに勢力を扶植ふしょくしようとして、党を造り派を立て、相対峙して下がらぬ。
戦後派諸人の反省する所となり、人道の扶植ふしょくに寄与するあらば幸甚である。
の書のたいたるや、水滸伝すいこでん平妖伝へいようでん等に同じといえども、立言りつげんは、綱常こうじょう扶植ふしょくし、忠烈を顕揚するに在りというをもって、南安なんあんの郡守陳香泉ちんこうせんの序、江西こうせい廉使れんし劉在園りゅうざいえんの評、江西の学使楊念亭ようねんていの論
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
各地に扶植ふしょくしておいた造船力とか水路の開拓とかいう遺業いぎょうが、今、入道の子孫の没落にあたって大きくものを云って、内海から九州まで、制海権をようしている。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
隣国を扶植ふしょくしてこれを進歩せしめる、こういう言葉を以て戦いをなすや否や、ぐにかの侵略を真似まねて自分が侵略するというは何事ぞ。覇者もなおかくの如きことは為さぬ。いわんや王者をや。
東亜の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
瀬戸内海一円には、故入道殿の扶植ふしょくされたご恩徳も浅からず、平家に加担の豪族も多いから、われらの第二の地盤として、勢いをもり返すことも至難ではあるまい
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
藩臣のうちには、いまだにかれの心事もわからず、その事業に対しての不平やら、あげつらいやら、またこういう際にも、汲々きゅうきゅう自閥じばつの利と勢力扶植ふしょくにばかり策謀しているものも多い。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)