“打身(うちみ)” の例文
体温は既に平生に復し食慾もついて来たが、腰や手足の打身(うちみ)はまだ直らず、梯子段(はしごだん)の上り下りにもどうかすると痛みを覚えるくらいである。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
打ったというのですから、その大きさも長さも思いやられます。打たれた跡は打身(うちみ)のようになって、今でも暑さ寒さには痛むということです。
魚妖 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
何よりも真先に、そして何よりも一番強くわたしの心を打ったのは、眼の下から鼻へかけて打身(うちみ)のために蒼くなり、一面に脹れあがった彼女の顔でした。
ゆうべの打身(うちみ)を痛がって呻(うめ)いてばかりいるし、辛辣(しんらつ)な毒舌も振わないので、武蔵は一しお不愍(ふびん)になり、はやく体だけでも丈夫にしてやりたいがと思うのだった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは若しや悪い病気になりはすまいかということである。喧嘩をした跡でも、日が立ってから打身(うちみ)の痛み出すことがある。女から病気を受けたら、それどころではない。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
打身(うちみ)は打身のように、切創(きりきず)は切創のように、気絶したものは気絶したもののように、繃帯を巻くべきものには巻かせたり巻いてやったり、膏薬(こうやく)を貼るべきものには貼らせたり貼ってやったり
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「これは打身(うちみ)じゃ。そうであろう?」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
両人が怨念(おんねん)なか/\退散致さゞるものと見え、先年大木より滑り落ち候時の打身(うちみ)その年の秋より俄(にわか)に烈(はげ)しく相なり候上、引続き余病もいろ/\差加(さしくわ)はり
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「冗談(じょうだん)じゃねえ、こんな癲癇があるものかい、これは打身(うちみ)だ」
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)