手取てっと)” の例文
「すぐフランス国境へ逃げださないと、もう間にあわないぞ、手取てっとり早く、用意をしろ。——おい、早くここをあけないか」
人造人間の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
これはおかで探るより、船で見る方が手取てっとり早うございますよ。樹の根、いわの角、この巌山の切崖きりぎしに、しかるべきむろに見立てられる巌穴がありました。
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こちらの世界せかい仕事しごとは、なにをするにも至極しごくあっさりしていまして、すべてが手取てっとばやはこばれるのでございますが、それでもいよいよこれから竜宮行りゅうぐうゆききまったときには
またそれから種〻の古物をもいうことになったのである。骨董は古銅の音転などという解は、本を知らずして末に就いて巧解こうかいしたもので、少し手取てっとり早過ぎた似而非えせ解釈という訳になる。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
毎々まいまい申上もうしあげますとおり、わたくしどもの世界せかいでは何事なにごとはなは手取てっとばやはこびます。
考えるまでもない、手取てっとり早く有体ありていに見れば、正にこれ、往来どめ
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)